柏木の未亡人落葉の宮は、母一条御息所の病気加持のために小野の山荘に移っていた。宮に恋心を募らせていた夕霧は、八月の中ごろに御息所の見舞いを口実に小野を訪れる。折からの霧にかこつけて宮に宿を求めた夕霧は、拒み続ける宮の傍らで積年の思いを訴え続けるが、思いはかなわぬままに夜は明ける。
祈祷の律師から夕霧が宮の元で一夜を明かし朝帰りしたと聞き驚いた御息所は、真情を確かめるべく病をおして夕霧に文を送るが、それを北の方の雲居の雁が取り上げ隠してしまう。夕霧の返事は遅れに遅れ、御息所は心労のあまり急死してしまう。突然の訃報を受け夕霧は葬儀全般の世話をするが、落葉の宮は母の死は彼のせいと恨み心を開こうとはしなかった。
落葉の宮はこのまま山荘に残り出家したいと思ったが、父朱雀院の反対にあい、夕霧によって強引に本邸の一条宮に連れ戻された。世間では二人の仲は既に公然のものとなっており、その状況に宮は戸惑う。
夕霧は養母の花散里から事情を聞かれるが、帰宅後嫉妬に狂った雲居の雁と夫婦喧嘩をしてしまう。何とか雲居の雁をなだめて落葉の宮の邸へ通っても、宮は塗籠(ぬりごめ)に閉じこもって出てこようとしない。結局強引に逢瀬を遂げて既成事実を作ってしまう。